すっぽんの学術的分類は亀?違いはどんなところ?

皆さんは「すっぽん」という名前を耳にした時にどんな姿を思い浮かべますか。

これからすっぽん料理を食べるという時に「こちらの食材はすっぽん料理です」と言われて、姿や特徴をすぐに想像することができるでしょうか。

すっぽんは健康と美容に効果的な栄養成分を多く含んだ食材です。

中国では漢方薬として使用され、日本では高級食材としてさかんに料理に使用されてきました。

しかし、体にいい、滋養強壮抜群、美容にいい食材という話はよく耳にしても、すっぽんそのものの生体をすぐに思い浮かべることのできる人はなかなかいないかも?

今回は女性にも男性にも嬉しい栄養素がたっぷりな食材の一つであるすっぽんの生態に迫ります。

栄養面を考えるのもいいですが、どうせならすっぽんの特徴を知った上で味わってみてください。

感じ方が変わるかもしれないですよ。

実はすごい!すっぽんに含まれるアミノ酸

すっぽんは「かめ」なのか?

「すっぽん」ってどんな生き物?

と問われると、かめのような生き物を連想する人が多いのではないでしょうか。

実際、その想像は間違っていません。

すっぽんとカメの見た目はほぼ同じ。

そしてすっぽんは食用というイメージが強く、カメは野生やペットとして飼育されているイメージが強いですが、実際は両方食用のものは食べられますし、野生もいて、ペットとして飼育されていることもあります。

すっぽんはかめであり、他のかめと同じく爬虫類の一種です。

「すっぽん」という名前で親しまれていますが、他には「キョクトウスッポン」「シナスッポン」という名前で呼ばれます。

すっぽんはすっぽんという生き物?かめと同じ生き物?それとも違う生き物?

という問いには、まずは「かめの同じ生き物です」と答えることができます。

具体的にどんなかめなのかは順番に解説していきますね。

すっぽんはどんな地域に生息しているの?

キョクトウやシナという文言が名前に入っていることから想像できるように、すっぽんの生息地は主に中国台湾韓国東南アジア、そして日本です。

あと、忘れてはいけないのがロシアです。

すっぽんはかめですからロシアだと寒すぎて生きていけないのではと心配になってしまいますが、ロシアの中でも南の地方には生息していることが確認されています。

日本では本州以南がもともとの生息地で、養殖場から逃げ出した個体が自然繁殖し、現在は南側だけでなく他の地域にも生息するようになりました。

ふらっと池の側を通りかかると、岩の上で日光浴をして甲羅干しをする亀を見かけることはないですか。

その亀さん、もしかしたらすっぽんだったかもしれないですね。

すっぽんの生息地はどこ?

縄文時代にはもうすっぽんを食べていた!日本のすっぽんの歴史

すっぽんはもともと日本に固有種がいたと言われています。

縄文時代の貝塚からすっぽんの甲羅や爪が見つかっているため、古い時代から固有の種として日本に南側の比較的温暖な地方に生息していたと考えられています。

しかし学者の中には古い時代に日本にすっぽんが持ち込まれ、そのすっぽんが繁殖し現在のすっぽんの先祖になったと考えている人もいます。

どちらが本当かは判明しておらず、現在も研究が進んでいます。

縄文時代にもうすっぽんが食べられた形跡があり、もしそれより古い時代に持ち込まれたのだとしたら歴史を揺るがす発見になるかもしれないですね。

面白い話です。

 

すっぽんの特徴は甲羅の柔らかさ!海外でも認識

さて、そんなすっぽん、今度はその見た目や生活に迫ります。

すっぽんは全長38センチから60センチくらいで、前述した通りかめの一種類です。

図鑑にもかめの項目によく掲載されており、見た目もかめにそっくりです。

生息環境はクサガメイシガメに近いとされており、養殖場以外の池や沼にも生息しています。

まさにかめです。

しかし、すっぽんには普通のかめと大きく異なる点がいくつかあるのです。

すっぽんの甲羅は非常に柔らかい

他のかめの多くは甲羅が固く頑強であるのに対し、すっぽんの甲羅は非常に柔らかいです。

英語ですっぽんは「soft shelled turtle」といいます。

簡単に訳すと「甲羅が柔らかいかめ」です。

外国でも「甲羅が柔らかいぞ」という認識だということですね。

これは他の多くのかめと異なるすっぽんの特徴であるといえます。

この特徴があるからこそ、すっぽんは他のかめよりも体重が軽いのです。

甲羅が柔らかいわけですから、その分の重量が他のかめよりマイナスされているということですね。

通常、カメ類は外敵から身を守るために甲羅は硬くできているものですが、すっぽんは甲羅が柔らかいだけでなく軽く、運動能力も高いので、外敵に襲われた際も甲羅で身を守る必要なく逃げることができるのです。

すっぽんの甲羅はゼラチン質の皮膚でできています。

すっぽん料理というと「コラーゲンが豊富」とよく言われますが、これは皮膚でできている甲羅に含まれているコラーゲンを指します。

一方、カメの甲羅は骨(背骨)でできています。

カメは、すっぽんと比較して甲羅は重く、運動能力は高くない(逃げ足は遅い)ため、外敵に襲われた際は甲羅に隠れて身を守ります。

そのため、甲羅は硬く、そして重たくできているのです。

すっぽんの甲羅はなぜ柔らかくて食べられるのか?

意外にしつこくない?すっぽんはわりとすぐ離す

すっぽんの特徴として「噛んだら離さない」という特徴があります。

しつこい人を「すっぽんみたい」と表現することもあり、実際に世間一般ではすっぽんは獰猛で一度噛んだら雷が鳴っても離れないというイメージが定着しているのではないでしょうか。

しかし、これは間違いです。

確かにすっぽんは獰猛なあごを持っており、うかつに手を出すと噛むことがあります。

しかし、世の中の印象ほどすっぽんはしつこいわけではありません。

また、雷が鳴っても離れないほどずっと噛んでいるというわけでもないのです。

すっぽんは一度噛みついても十秒くらいで一度噛みつくのをやめるという特徴があります。

人間で考えてみると、例えばリンゴがあったとして、リンゴにずっと噛みつき続けるのは疲れてしまいますよね。

すっぽんだって生き物ですから、あごだって疲れてしまうことでしょう。

また、すっぽんは水辺に戻すと水の中に戻って、すいーっと泳いで逃げるという特徴もあります。

  1. 水辺に戻すと噛みつくのをやめて逃げる
  2. 十秒ほどで一度あごの力を抜く
  3. 噛みつくのをやめる

この特徴を考えると、すっぽんは世の中で言われているほどしつこい生き物ではないかもしれないですね。

ただし、しつこくないからといって本当に十秒で噛みつくのを一度やめるか、水辺に戻すと噛むのをやめて逃げて行くか確認しようとはしないでくださいね。

すっぽんの他の亀よりとがったあごはとても強靱で人間に大きなダメージがあるという特徴は一般のイメージ通りなのですから!

皮膚は弱いが足が速い?すっぽんと他のかめの違い

すっぽんの特徴として、皮膚が弱いということが挙げられます。

池や沼の周りを散歩していると、岩の上や水辺でのんびり亀が甲羅干しをしている光景を見かけることがあります。

もちろん他のかめもこうして甲羅を日光で干すことがあるのですが、すっぽんは他のかめより皮膚が弱いため、皮膚病を防ぐという意味でも甲羅干しをしています。

日光には殺菌作用があり、家庭でも洗濯物やお布団を日向に干しますね。

これは湿気を取るだけでなく、太陽の力にあやかった有用な方法なのです。

すっぽんは皮膚が弱いので、よく池や沼から岩の上に出てきて甲羅を干すという習性があります。

また皆さんは池や沼の側を歩いている時に甲羅を干している亀を見かけたことはありませんか。

それは野生のすっぽんかもしれません。

すっぽんはあくまできちんとした流通経路で仕入れてプロが料理するからこそ危険がない食材で、最大限に栄養成分と味を引き出すことができます。

間違っても沼や池にいるすっぽんを捕まえようとはしないでくださいね。

甲羅干しをしているすっぽんを見かけたら、見るに留めておいて手は出さないように!!

ちなみにすっぽん、他のかめと違って足が速いという特徴でも知られています。

「かめの歩み」という言葉が通用しないのもすっぽんの特徴ですね。

日中の生活スタイルの違い

すっぽんとカメはいずれも水中での生活がメインですが、日中の生活スタイルが異なります。

すっぽんは、陸上での動きが俊敏だと言われながら、産卵以外で陸に上がることは、ほとんどありません。
この後詳しくご説明しますが、カメは甲羅が硬く体温調節ができないこと、そして硬い甲羅を維持するために必要な栄養を日光から吸収するために日光浴が必要です。

しかし、すっぽんは甲羅が柔らかく、十分な栄養が含まれているため、カメのように日光浴をする必要がありません。
そのため、日中も水中で生活をしても問題ないのです。

一方、カメは先述した通り、健康を維持するために日中に日光を浴びる必要があります。
それは、日光を浴びることで、硬い甲羅を温め体温を上げること、そして日光消毒をして甲羅や皮膚の病気の予防をしています。

また、日光には紫外線が含まれますが、この紫外線を甲羅に浴びることで、ビタミン生成し、甲羅を健康に保つ(甲羅を形成する)ために必要なカルシウムを得ています。
そのため、カメは日中に陸にあがり活動していることが多いです。

身体に含まれる栄養の違い

すっぽんとカメは姿や形は似ていても、身体に含まれる栄養が大きく異なります。

すっぽんは肌の潤いを保つコラーゲンや、身体の健康を保つために必要不可欠なタンパク質をつくる、そして基礎代謝を高めるために必要な筋肉をつくるアミノ酸、貧血予防ができる鉄分、骨をつくるカルシウムなど豊富な栄養素が含まれています。

一方、カメは日本では食用とされているものはほとんどありませんよね。
海外では、カメの卵に含まれる栄養を求めて食べられているものもありますが、すっぽんが持っているようなコラーゲンやアミノ酸、鉄分やカルシウムなどは含んでいません。

つまり、すっぽんとカメを比較すると、圧倒的にすっぽんが身体を健康に保つ栄養素を豊富に含んでいることが分かります。

体の内側から健康になれる!すっぽんの健康効果について

最後に

すっぽんとは?

“スッポン(鼈、Pelodiscus sinensis)は、爬虫綱カメ目スッポン科キョクトウスッポン属に分類されるカメ。「キョクトウスッポン」「シナスッポン」の名で呼ばれることもある。”
(“ ”部引用:wikipedia(ウィキペディア)

すっぽんの特徴は、

・水中での生活がメインで、水中では水底で砂や泥、岩の隙間などに隠れていることが多い
・水かきが発達しているため、水中で身軽に移動できる
・水かきの発達と併せて、甲羅が軽いため敵が来てもすぐに逃げることができる
・甲羅が柔らかい。水かき・甲羅が発達しているため、固い甲羅で身を守らなくても外敵と戦うことができる
・アゴの力が強く、一度噛みつくとなかなか離さない
・水中だけでなく、水上で呼吸もできるため、陸で活動することもできる。陸上の移動はかなり俊敏である

カメとは?

“カメ(亀、ラテン語名:Testudo、英語名:Turtle, etc.)[要検証 – ノート]は、爬虫綱-(双弓類[1])- カメ目(亀目、学名:Testudines、英語名:Testudines)に分類される爬虫類の総称。絶滅した初期グループおよび、現存する曲頸亜目・潜頸亜目の2亜目で構成される。
現生と化石の別無く、すべての種が胴体を甲羅としている点が特徴となっている。”
(“ ”部引用 引用:wikipedia(ウィキペディア)

カメの特徴は、

・水中での生活がメインで、種類によっては陸上で生活するものもある(リクガメなど)
・昼間は陸上で日光浴をすることも多い
・歯がなく、クチバシがある
・甲羅が硬い。外敵から身を守るために甲羅が硬い甲羅でつくられている。敵がきたときは、首や足など全身を甲羅に入れて身をひそめる
・肺呼吸であるため、水中で呼吸ができない。呼吸時には水面に首を出して呼吸をする。冬眠時は体内にためた酸素を使って呼吸をする

すっぽんはかめの一種です。

しかし、それぞれのかめが個性を持っているように、すっぽんもすっぽん独自の個性ともいえる特徴を持っています。

栄養成分満点の食材というだけでなく、こういったすっぽんの特徴を知って口にすることで、食べ物や栄養に対する有り難さが増すような気がしませんか?

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