健康的な生活を送るために必要なのが、バランスのとれた食事です。その食事の内容を考えたときに大事になるのが5大栄養素と呼ばれる栄養素です。
でも、
「5大栄養素って何?」
という人もいますよね?
そこでどのような栄養素がどのような働きをしていて、どのようなものに含まれているのかといった基礎知識を勉強していきましょう!
5大栄養素とは
人間が健康的な生活を送るためには欠かせない栄養素は、「タンパク質」「ビタミン」「ミネラル」「脂質」「炭水化物」の5つに分類できます。
これらの栄養素は5大栄養素と呼ばれ、健康だけでなく美容のためにも日常的にバランスよく摂取することが求められます。
でも、意外とどのような栄養素がどのような働きをしているかわかっていなかったり、誤解をしてしまっていたりすることもありますよね。
そこで、今回は5大栄養素の基礎知識についてまとめました!
タンパク質
タンパク質に含まれる栄養素
・必須アミノ酸:トリプトファンやロイシンなど9種類
・非必須アミノ酸:グリシンやシステインなど11種類
タンパク質の働き
タンパク質は、脂質と炭水化物とともに3大栄養素と呼ばれています。そんなタンパク質は、構造タンパク質と機能タンパク質とわけることができます。
構造タンパク質には、皮膚や爪、骨に含まれているコラーゲンの材料となるほか、筋肉や内臓、皮膚や核タンパク質といった体中の構成成分の材料となるタンパク質が属しています。
機能タンパク質には、消化酵素やホルモンとなって代謝に携わるものもあれば、免疫機能として働いたりエネルギーや栄養素を運搬していたりとその役割は様々です。
タンパク質が足りなければ、皮膚や髪がボロボロになりやすくなり、筋肉や骨、内臓や血管が衰えてしまいやすくなり、自律神経が乱れたり免疫機能が働かなくなったりなど様々な悪影響が現れます。
また、せっかく摂った栄養も、運搬役のアミノ酸がなければうまく運搬されず、貧血のような症状も起こりやすくなります。
タンパク質を摂取する時の注意ですが、アミノ酸バランスが良くないと吸収されないこともあります。
また、タンパク質の吸収や働きを活性化させるためにはビタミンやミネラルも必要になります。
タンパク質が多く含まれる食材とその働き
構造たんぱく質 | 機能たんぱく質 |
---|---|
筋肉強化、免疫力アップ、骨、軟骨、皮膚構成 | 消化酵素、ホルモンに変化、栄養素輸送など |
肉類(赤身、胸肉)魚介類(マグロ、カツオ、ブリ、イワシ)大豆製品(豆腐、豆乳、納豆) 乳製品(牛乳、チーズ)、卵 ※特に牛乳、大豆、鶏卵にはアミノ酸も含まれているのでお勧めです。 |
ビタミン
ビタミンに含まれる栄養素
ビタミンA,B群,C,D,E,K,Pなど
※ナイアシンや葉酸などはビタミンB群に入ります。
・水溶性ビタミン:ビタミンB群,C,P
・脂溶性ビタミン:ビタミンA,D,E,K
ビタミンの働き
ビタミンは、ほかの栄養素を吸収したり合成したり正常に働いたりするのに必要な栄養素です。
全てのビタミンには重要な役割がありますので、Aが不足してしまうと夜盲症に、B1の不足で脚気に、Cの不足で壊血病に、Dの不足で骨粗鬆症に…など、身体中に支障が現れてしまいます。
また、病気でなくても何だか体の疲れが取れにくく感じてしまうということもあります。
ビタミン類には、こういった健康面だけでなく美容面でも注目されている栄養素も多いです。
例えば、Eには抗酸化作用があってアンチエイジングには欠かせませんし、Cには美白効果やコラーゲンの吸収力をアップさせる効果もあります。
現代人には不足しがちな栄養素として知られていますが、ビタミンの中でも過剰症が心配される栄養素もあります。
例えば、Aは摂り過ぎると吐き気や睡眠障害などの症状が現れますし、Dを摂り過ぎてしまうと心臓や腎臓に負担をかけてしまい、腎不全のような大病の原因となってしまいます。
水溶性ビタミンは多量に摂取しても尿などで体外に排泄されてしまいますので、一度に多く摂らず頻回に分けて摂取するようにしましょう。
脂溶性ビタミンは油に溶けますのでお肉や魚などと一緒に摂ると吸収されやすくなります。
ビタミンが多く含まれる食材
水溶性ビタミン(熱に弱いので洗いすぎゆですぎは避けましょう、毎日必要量摂取するといいでしょう) | |
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ビタミンC | ビタミンB群 |
美白効果が期待できる コラーゲンをつくり皮膚や 血管の健康維持に役立つ 抗酸化作用があり身体を守る | エネルギー吸収 皮膚や毛髪の健康維持に役立つ |
緑黄色野菜(ピーマン、カリフラワー) 果物(柑橘類、イチゴ) | うなぎ、すっぽん、レバー類、 牡蠣、カツオ、たらこ |
脂溶性ビタミン(熱に強く扱いやすいですが摂取しすぎはNG) | |||
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ビタミンA | ビタミンD | ビタミンE | ビタミンK |
抗酸化作用があり 免疫力維持、視覚 の暗順応に役立つ | 歯や骨の形成 カルシウムの 吸収を助ける | 細胞膜を守り 抗酸化作用がある | 出血時に血を固めて 止血してくれる作用 骨のカルシウム 吸収や維持 |
レバー、うなぎ 緑黄色野菜 乳製品 (バター、チーズ) | すっぽん、いくら しらす、キノコ類 (しいたけ、きくらげ) | 大豆類、ナッツ類 うなぎ ※ビタミンEはA,Dと 一緒に摂取すると良い | 小松菜、ほうれん草 モロヘイヤ 納豆、鶏肉 |
ミネラル
ミネラルに含まれる栄養素
・必須ミネラル:鉄,亜鉛,カルシウム,マグネシウム,ヨウ素など16種類
・非必須ミネラル:ケイ素など13種類
ミネラルの働き
ミネラルも、ビタミンと同じようにほかの栄養素の吸収や合成、正常な働きをサポートするなど、体の調子を整える働きをする栄養素です。
それと同時に、カルシウムや鉄などは骨や血液を作るための材料になったりもします。
また、ホルモンのもとになったり神経の伝達に必要だったりと様々な重要な働きをします。
ミネラルも健康効果だけでなく、代謝を促したり活性酵素を除去する働きがあったりなど、美容に不可欠なミネラルもあります。
しかし、ビタミンと同様に過剰摂取で体調不良を起こしてしまうものもあります。
ナトリウムの摂り過ぎで高血圧症になってしまうのは有名ですが、ほかにもカリウムの摂り過ぎで心機能障害となってしまったり銅の摂り過ぎで肝障害や腎障害となってしまったりということもあります。
もちろん、不足すると鉄の場合は貧血に、亜鉛の場合は発育障害や味覚障害に、カリウムやマグネシウムの場合は筋疲労になってしまうなどの体調不良が起こりやすくなります。適切な量を摂取するようにしたいですね。
ミネラルが多く含まれる食材
ミネラルは栄養素によって多く含まれている食材が変わってきます。
例えば、亜鉛や銅は貝類に多く含まれていますが、鉄はレバーや肉類、緑黄色野菜に多く含まれています。
脂質
<脂質に含まれる栄養素>
脂質は、油脂,脂肪酸,コレステロール,グリセリンなどから構成されます。
そのうち、脂質の役割としてよく話題になるのが脂肪酸です。脂肪酸には次の2種類があります。
・飽和脂肪酸
・不飽和脂肪酸:DHAやEPA、リノール酸など
脂質の働き
脂質も3大栄養素のひとつで、エネルギー源になるほかホルモンの材料となったり体の細胞膜の成分になったりなど体を作る役割もあります。
脂質には常温で個体として存在するマーガリンやラードのような飽和脂肪酸と、液体として存在するゴマ油のような不飽和脂肪酸に分けることができます。
飽和脂肪酸の場合は摂り過ぎてしまうと肥満や動脈硬化などの病気のリスクが高まってしまいます。
一方、不飽和脂肪酸には、血中のコレステロール値を下げて生活習慣病のリスクを減らしたり、疲労回復や記憶力を向上させる効果があったりする脂質もあります。
悪者に思われがちな飽和脂肪酸も、習慣的に摂取量が少なければ脳出血を起こしてしまうことになります。
また、不飽和脂肪酸の不足も、発育障害や肌荒れの原因となることもあります。
脂質が多く含まれる食材
飽和脂肪酸は、お肉などの動物性脂肪、乳製品、ココナッツ油のような熱帯植物の油に多く含まれています。
不飽和脂肪酸は、魚の脂肪やナッツ類、コーン油のような熱帯植物以外の油に多く含まれています。
飽和脂肪酸 | 不飽和脂肪酸 |
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お肉などの動物性脂肪 乳製品、ココナッツ油のような 熱帯植物の油に多く含まれている | 魚の脂肪やナッツ類 コーン油のような熱帯植物以外の 油に多く含まれている |
炭水化物
炭水化物に含まれる栄養素
糖質
炭水化物の働き
炭水化物も3大栄養素のひとつで、人間が生きていく上で必要不可欠なエネルギー源となります。
エネルギーとしては脂質の半分くらいの効率ですが、脳へは炭水化物であるブドウ糖しかエネルギーを補給することができませんのでとても重要になります。
また、ほかのエネルギー源と違って摂取後すぐにエネルギーとして使えるというのも大きな特徴です。
炭水化物が足りていない状態では、疲れやすくなってしまったり集中力が続かなかったりといった弊害が起こります。
しかし、炭水化物は摂り過ぎると脂肪になりますので、肥満になったり生活習慣病の原因となったりします。
年齢やライフスタイルによって適切な摂取量は変わりますので、注意しましょう。
炭水化物が多く含まれる食材
炭水化物が多く含まれる食材 |
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糖質は体の主要なエネルギー源です。1gで4kcalのエネルギーを産出する 1日2,000kcal必要な人では、およそ60%程度の1,200kcal |
ご飯、麺類、パン類、イモ類、果物、砂糖、はちみつ |
すべての栄養をバランスよく
栄養の基礎知識はいかがでしたか?健康的に毎日を過ごすためには、ここでご紹介した5大栄養素すべてをバランスよく摂取することが必要になります。
しかし、毎日必要摂取量をきっちりと守るというのは案外難しいものです。
そんな時には、数日間かけて栄養バランスを調整すると良いですよ。
例えば、「脂質を摂り過ぎてしまったな」と思ったら、次の日は控えめにするようにすると、摂り過ぎを防ぐことができます。
また、すっぽんなど元々栄養バランスが優れている食材を使ったり不足しがちな栄養をサプリメントで摂ったりするのもおすすめですよ。