すっぽんと言えば、滋養強壮や美肌効果が高い高級食材として知られ、高い人気を誇っています。
例えば、大分県の高級料亭「料亭やまさ」には全国各地からすっぽん料理を目当てにお客さんが訪れ、あるいは全国からお取り寄せの注文があるそうです。
それだけすっぽんの栄養や健康効果の期待は高く、すっぽんを食べてみたいという方は多いのです。
しかし、そうはいってもすっぽんは高級食材。
頻繁に食べることは難しいものです。
そこで最近は、1万円以内で生きたすっぽんを取り寄せ、自宅でさばいて料理する人も出てきています。
今回は、「自宅で気軽にすっぽんを食べたい」と思っている方向け人、自宅でもできるすっぽんのさばき方についてご紹介します。
すっぽんの歴史
すっぽんと聞いて健康にいいとイメージする方は多いでしょうが、それだけ健康にいい食材として知られているのはすっぽんの歴史にあると言ってもいいでしょう。
すっぽんは昔から健康食品として知られていましたが、特に中国の漢方薬ではすっぽんが古来から材料として使われており、他にも宮廷料理にも利用されていたことから、すっぽんを管理する役職まであったそうです。
いっぽう、日本では縄文時代から食べられていたと言われていますが、その頃は食材として利用されていたと伝えられています。
健康に効果のある食材として食べられるようになったとされているのは平安時代から室町時代にかけてで、貴族なとを中心に甲羅が滋養強壮にいいとして利用されていました。
庶民が滋養強壮を目的として鍋料理などに使うようになったのは、江戸時代になってからだそうです。
すっぽんの味とは?
すっぽんについて知っていても、すっぽんを食べたことがある人はそう多くはないでしょう。
最近ではすっぽんはサプリなどに加工されて販売されていますが、食べたこともないすっぽんのサプリなどと言われても不安・・と感じる方もいるでしょう。
実際にどういった味がするのか心配になってしまうものです。
テレビなどではよくすっぽん鍋を食べた感想としてゼラチン質でおいしいとか、健康に効果がありそう・・などと言っていたりしますが、実際にはどうなんだろう?と思っている人が多いはず。
では、すっぽん料理ではどういったものが、出されるのかここでご紹介してみましょう。
まず、見たことだけはあるかもしれませんが、食前酒としてすっぽんの血を日本酒で割ったものがおちょこで出されることがあります。
とは言っても血なので見た目はグロテスクですが、くせやにおいなどはないのが特徴です。
見た目はちょっと・・と思われがちですが、味はおいしいようですね。
次はお刺身ですが、その場でさばいてくれる料亭などでは心臓や肉などをお刺身で提供してくれるそうです。
お鍋の前には揚げものなども出されますが、お肉自体あっさりとしており 味は鶏肉のささみのようです。
最後に定番のお鍋です。
このお鍋には甲羅意外のものがすべて入っており、ちょっとこわごわお箸を入れる方が多いようですが、ゼラチン質であっさりとしており鶏鍋のような感じです。
ポン酢をつけて食べることが多いようですね。
最後に残っただしは最も贅沢と言ってよく、雑炊にして食べると絶品です。
すっぽん料理を食べた後は体がカーッと熱くなるという人がとても多く、次の日はお肌が潤うとも言われています。
この即効性こそがすっぽん料理の最大のメリットで、女優さんやモデルさんもお肌をプルプルにしたい時にはすっぽん料理を食べに行く方が多いです。
もし、コラーゲンを食べたとしてもそのまま体の中でコラーゲンになるはずがないのに、すっぽんを食べた次の日に効果が出るはずもありませんが、そのまますっぽんのコラーゲンがお肌に定着しないにしてもお肌の水分保持機能がアップし、血行がよくなるのは間違いなさそうですね。
すっぽんの食べられる部位
内蔵
すっぽんはどの部位も栄養がたっぷりですが、一番栄養があるのは内蔵だそうです。
たとえば、肺や膵臓、肝、胃腸、精巣・・などですね。
特に栄養価が高いのは膵臓で、EPA、DHAといった青魚に豊富に含まれている不飽和脂肪酸やビタミンAやE、リノール酸などが多くおいしい部位です。
血圧やコレステロール値を下げてくれるため、脳卒中や動脈硬化などを防いでくれるほか、中性脂肪を減らしてくれるのでメタボ防止になります。
また、肝の部分には鉄分が多く含まれているため貧血防止になります。
ただ、すっぽんは傷みやすい食材で内臓を調理するのは難しいため、専門店で食べることをおすすめします。
エンペラ
すっぽんを食べた次の日にはお肌がプルプルになる・・と言われていますが、それはすっぽんにはコラーゲンが非常に多く含まれているからです。
さらに、すっぽんのコラーゲンは量が多いだけでなく、熱に強く吸収性が高いという特長があって、魚などの海洋性コラーゲンや豚などの動物性コラーゲンと比較して吸収率がとてもいいそうです。
このコラーゲンは体内へ取り込まれるといったんアミノ酸に分解されてから再度コラーゲンを生成すると言われています。
甲羅や軟骨
すっぽんには非常に多くのカルシウムが含まれているのですが、特に甲羅や軟骨に多いと言われています。
すっぽんをさばく前の注意点
いよいよ本題の、すっぽんのさばき方をご説明しますが、その前にさばく前の注意点です。
すっぽんをさばく際は、必ず“生きたまま”のすっぽんを使いましょう。
すっぽんは死んでいると、体中に臭みが周り、食べられる状態でなくなります。
ただ、生きたすっぽんは動きますし、包丁で切ろうとすると首を引っ込めてしまい、なかなか切りにくいものです。
また、時には噛みついてくることもあります。
しかし、さばく人間側が怖がると、力を入れてさばくことができないので、まずはすっぽんを裏返しにして、首が伸びてきたタイミングで首を抑え、さばき始めることをおすすめします。
また、すっぽんをさばく際には出刃包丁を使いましょう。
甲羅や爪は包丁で切れないほど固いので、料理用カットハサミ(切り口が大きいハサミ)を用意するのも良いかもしれません。
1.すっぽんのさばき方「首を伸びるところまで伸ばして、首元から切ること」
まずは、すっぽんの首を落とします。
すっぽんの首を落とすときは生きているので、「かわいそうだな…」あるいは「見た目がグロいな…」と思ってしまうものです。
しかし、そう思うとすっぽんをさばくことはできないので、覚悟を決めて切り落とすことをおすすめします。
首元を切ると、生き血が流れてきます。
この生き血をワインで割ると、よく料亭で出てくる「生き血のワイン割」です。
2.すっぽんのさばき方「甲羅と甲羅周りをカットすること」
続いて、すっぽん全体に渡る甲羅周りをぐるりと一周カットします。
甲羅があるすぐ下は柔らかくなっているので、柔らかい所をカットしていくのがポイントです。
カットが完了したら甲羅を指を使って剥します。
魚を三枚おろしにするイメージです。
すると、すっぽんの内臓が出てきます。
3.すっぽんのさばき方「甲羅を剥いで残った胴体のうちお尻・胴体真ん中周辺の左右(左右の手と足の間)に約1㎝の切り込みを入れる」
甲羅を剥ぐと、半分になったすっぽんの胴体が出てきます。
そこで、お尻・胴体真ん中周辺の左右(左右の手と足の間をイメージ)に約1㎝の切り込みを入れます。
4.すっぽんのさばき方「膀胱を取り除く」
続いて、膀胱を取り除きます。
膀胱は傷がついて破れると、かなりキツイ臭いになるので、傷をつけずに丸ごと取りましょう。
すっぽんによって膀胱の場所は異なりますが、一般的にさばいて、頭を上にした場合左下の位置に膀胱があることが多いです。
5.すっぽんのさばき方「内臓を取る」
膀胱を取り除いたら、次は食べられる肺、心臓、肝臓、腎臓を取りましょう。
6.すっぽんのさばき方「胆のうを取り除く」
肝臓を取る際、間違えて食べられない「胆のう」も取ってしまうことが多いです。
胆のうは、どのすっぽんも濃い紫色(ぶどう色と表現されることもあります)をしている豆状のものです。
胆のうは必ず取り除き、破棄しましょう。
7.すっぽんのさばき方「内臓を取り除いた胴体から身を取る」
内臓を取り除いたら残った胴体から身を取ります。
この身がよくお刺身で出てくる部分です。
ここで、最初に剥した甲羅の裏から取れる身も取りましょう。
特に、手足、首元が最も身があります。
このときに爪はカットして、破棄してしまいましょう。
8.すっぽんのさばき方「甲羅をさっとゆでて身を取る」
先程身を取ったと思いますが、それでも取り切れなかったものは、甲羅ごと簡単にゆでて、柔らかくして身を取ります。
それでも取り切れなかったものは、甲羅ごとすっぽん鍋に入れてダシにします。
全8工程ですっぽんさばきが完了!
首をカットするところから、甲羅をゆでて身を取るところまで、全8行程、これですっぽんさばきが完了します。
今回は、すっぽんのさばき方についてご紹介しました。
文章で見ると、意外と簡単にさばけそうだな…と思われた方も多いのではないでしょうか。
すっぽんというと、魚と違いさばくのが大変そう…だと思われがちですが、しっかり行程を守れば、魚と同じように簡単にさばくことができます。
もちろん、プロが作ったすっぽん料理を料亭で食べることも良いですが、年に何回かは、自分でさばいて、自分で作ったすっぽん料理を食べるのも良いものですよ。
最近は、インターネット通販で生きの良いすっぽんも多く販売されています。
かといって、すっぽん料理を頻繁に食べることは難しいので、サプリなどで日ごろの生活に取り入れてみてもいいですね。
すっぽんの栄養成分を取り入れることで、今よりずっと健康的で美しくなれるはずです。
ぜひ、一度試してみてはいかがでしょうか?