アラギドン酸が含まれる食品とその効果について

必須脂肪酸のアラキドン酸は、健康のために不足することなく摂りたい栄養素。
アラキドン酸には血液の流れをよくして高血圧を予防したり免疫力を高めたりという効果が期待できます。また、脳の働き集中力、記憶力に影響したり、胃腸の調子陣痛を促進したりといった効果も!?
そんな複数の効果が期待できるアラキドン酸とは一体どのような栄養素なのでしょうか?今回は、アラキドン酸が多く含まれる食品やその効果、摂取のポイントをまとめました。

アラキドン酸とは?

アラキドン酸はオメガ6の不飽和脂肪酸で、食品から直接摂取する以外にもリノール酸から体内で合成することができます。オメガ6の不飽和脂肪酸は『必須脂肪酸』『ビタミンF』とも呼ばれています。

『脂肪』と聞くと、生活習慣病や肥満のもとになりそうで「避けなきゃ」と思う人も多いかもしれませんが、アラキドン酸は脳や血管、皮膚や肝臓といった人間の身体中の様々な場所で活躍し、とても重要な役割を担っています。そのため、足りていないと健康に悪影響が現れてしまうこともあります。

特に、乳幼児や高齢の方ほど気をつけて摂りたい栄養だと言われています。

今回はそんなアラキドン酸を多く含む食品と、アラキドン酸を摂取することで得られる効果や摂取する時に注意するポイントについてまとめてみました。

アラキドン酸を多く含む食品

アラキドン酸は、どのような食品に多く含まれているのでしょうか?また、体内で合成されてアラキドン酸になるリノール酸についても併せてチェックしておきましょう。

アラキドン酸を多く含む食材

アラキドン酸の1日に必要な摂取量は、150mg~200mgと言われています。
アラキドン酸は、主に肉類や卵、魚介類に多く含まれている脂肪酸で、特にレバーに多く含まれています。

ここでアラキドン酸を多く含む食材を100g あたりの含有量と併せてご紹介したいと思います。

<肉類/卵>
・豚レバー 300 mg
・牛レバー 170 mg
・鶏レバー 120 mg
・鶏もも肉 78 mg
・鶏卵 150 mg

<魚類>
・ウナギ 71 mg
・すっぽん 89 mg
・イクラ 110 mg
・サバ 131 mg
・イワシ 160 mg

アラキドン酸は、たんぱく質の摂取と同時に1日に必要な摂取量をクリアしやすい栄養素です。また、アラキドン酸を直接摂取する量が足りない状態でも、リノール酸の摂取によって身体で合成されますので『足りない』ということは滅多に起こりません。

リノール酸を多く含む食材

アラキドン酸のもとになるリノール酸は、1日に9g前後の摂取が目安になります。リノール酸は主に肉類や大豆製品、卵のほかにヒマワリ油、ゴマ油などの油類やクルミや落花生などのナッツ類にも大量に含まれています。

それではリノール酸を多く含む食材を100g あたりの含有量を見ていきましょう。

<肉類>
・豚ロース 8400mg
・鶏胸肉 5900 mg
・牛バラ 1300mg

<大豆製品>
・大豆 8600mg
・油揚げ 10500mg
・きな粉 11000 mg
・納豆 4700 mg

<卵/乳製品>
・鶏卵(全卵) 7100mg
・マヨネーズ 18000mg
・生クリーム 8900mg

<油>
・ヒマワリ油 58000 mg
・コーン油 51000 mg
・ゴマ油 41000 mg
・ラー油 43000 mg
・なたね油 19000 mg

<ナッツ類>
・クルミ 41000 mg
・落花生 1800 mg
・ゴマ(いり) 23000 mg

ここで注意したいのが、リノール酸の含有量が一見多い食品もそこまでの量を摂取できないこともあります。特に、油でリノール酸を摂取したい場合は、炒めものに使う場合は記載されている数字の1/7~1/10程度になりますので注意してください。

また、お菓子やドレッシングなどの加工品にもこれらの油や食品が含まれていますので、現代日本において、アラキドン酸は大抵の場合は問題なく摂取することができていると言われています。

アラキドン酸の効果

毎日の必要量の摂取が意外と簡単にできるアラキドン酸ですが、実は健康にとても重要な働きを持っています。アラキドン酸が持っている健康効果について1つ1つ見ていくことにしましょう。

■細胞膜の材料のひとつ
アラキドン酸は細胞膜のリン脂質の材料になります。アラキドン酸には柔軟で固まりにくいという性質があるため、細胞を柔らかく覆っています。
アラキドン酸が最も多いのは脳ですが、それ以外にも全身の細胞の細胞膜を構成しています。

■血液がサラサラに!
アラキドン酸は、プロスタグランジンという生体調節ホルモンの材料にもなります。このプロスタグランジンには増えすぎてしまった血中のコレステロール値を下げるという働きを持っています。
コレステロール値が高い状態の血液は、血液がドロドロの状態になりがちです。血液がドロドロの状態では、血液を全身にめぐらせるために心臓はより大きく脈打つようになります。これが高血圧という状態です。高血圧になってしまいますと、循環器系の疾患や生活習慣病のリスクが高まってしまいます。
アラキドン酸を適量摂取すると、血流を改善し、高血圧の予防や解消といった効果が期待できるのです。

■血液の凝縮作用や血管壁の収縮作用も◎
アラキドン酸は、血液の流れをよくするだけでなく、血管が破れて出血してしまった時にも活躍します。
アラキドン酸は血小板に取り組まれ、出血してしまったときには血小板のトロンボキサンによって凝集させます。また、血管壁を収縮するという役割もありますので、出血してしまった血液が止まりやすくなるという働きがあります。

■脳の働きを活性化
アラキドン酸は脳の伝達細胞(シナプス)の活性化にも関わってきます。人の脳、特に海馬にはとても多くのアラキドン酸が含まれていて、これにより神経物質を新たに生成したり集中力や記憶力を向上させたりといった効果が見込めるといわれています。
特に、胎児や乳児の場合は、脳の発達や成長にも欠かせない成分で、健やかな成長のためにも1日の必要摂取量は必ず取っておく必要があります。そんなアラキドン酸は、認知症の予防にも効果的だと言われています。同じ不飽和脂肪酸のDHAと同じように、子どもやご高齢の方ほどとっておきたい栄養です。

■免疫力や胃腸、陣痛の促進効果も
アラキドン酸には、免疫力を高める効果も期待できます。その理由が、プロスタグランジンという生体調整ホルモンの材料になるということにあります。免疫力を高めることは、様々な感染症などを防ぐことに繋がります。
また、プロスタグランジンには、ほかにも胃酸の分泌量を減らしたり子宮を収縮させたりという作用もあり、実際に胃薬や陣痛促進剤としても利用されています。

■アラキドン酸が足りないと…
それでは、アラキドン酸が足りていないと、
・集中力や記憶力の低下
・胃腸障害
・免疫力の低下
などの症状が現れるとされています。

特に、乳幼児の場合は子どもの学習能力が低下してしまったり、認知症の方はもの忘れが激しくなったりという調査結果もありますので、気を付けて摂取するようにしたいですね。

アラキドン酸を摂取する時の注意点

健康のためにアラキドン酸を摂取したいという時に注意したいのが、
・アラキドン酸の過剰摂取に注意
・DHAやEPAと一緒に摂る
という2点です。

アラキドン酸には健康を維持するためには見逃せない効果がたくさんありますが、摂り過ぎてしまうと血栓の原因となったり気管支炎の原因になったりすることがあります。また、癌の転移や増殖の原因となってしまうこともあると言います。くれぐれも摂り過ぎには注意したいですね。

アラキドン酸の健康効果は、DHAやEPAといった脂肪酸と一緒に摂取するとより効果が実感できると言われています。どちらも血液をサラサラにしたりコレステロール値を下げたりといった効果が期待できる栄養素です。また、DHAは脳に作用する栄養素ですので、アラキドン酸とよく似た効果が期待できます。

アラキドン酸は摂取しやすい栄養素ですが、1日の必要量に足りていないという場合も稀にあります。リノール酸から合成されるアラキドン酸の量は、実はごく少量で、年齢とともに減少することが知られています。また、脂質を摂る量を減らすダイエット中などでも不足してしまうことがあります。きちんと1日に必要な量がとれているかは確認するようにしましょう。

TOP