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古くから注目される霊芝
中国では2000年以上も前から霊芝に親しんできました。
現代ではガンに効く、免疫力を上げるなどとも言われています。
ガンを予防および抑制する効果、免疫力を高める効果の他にも、高血圧、動脈硬化、糖尿病などの生活習慣病の予防・改善効果、神経機能を正常に保つ効果、アレルギー症状を緩和する効果などが言われています。
霊芝は、キノコの一種でマンネンタケ科マンネンタケ属に属しているキノコの中国名です。
学名はGanoderma lucidum(ガノデルマ・ルシダム)といいます。
霊芝は以前、サルノコシカケ科に分類されていたこともあり、現在もサルノコシカケと混同されていることも多いです。
サルノコシカケ科のキノコが2年以上かかって成長するのに対して、霊芝は1年で成長します。
また、サルノコシカケは木に生えますが、霊芝は土から生えます。
霊芝の歴史
中国では「芝」は、「キノコ」を表しています。「霊妙不可思議なキノコ」や「霊験あらたかな キノコ」との意味で霊芝と名付けられました。
中国の古書「神農本草経」(しんのうほんそうきょう500年頃)では、天然の薬用材料365種類を上品・中品・下品に分類しています。
霊芝は「健康を増進し、いくら摂取しても害がない」とされる上品に分類されています。
そこに記載されている霊芝は、赤芝(せきし)、黒芝(こくし)、青芝(せいし)、白芝(はくし)、黄芝(おうし)、紫芝(しし)の6種類です。
この中で有用成分がありもっとも一般的な霊芝は、赤芝(せきし)といわれています。
現在、流通しているもののほとんどが人口栽培された赤芝(せきし)です。
古代中国では霊芝の効能が絶大に信じられ、発見者はこれを採取して皇帝に献上することが義務付けられていました。
また、官吏など役人への賄賂としても使われていました。
それほど珍重されてきたものでした。
日本では奈良時代に記された歴史書「日本書紀」(にほんしょき720年)や日本現存最古の薬物辞典「本草和名」(ほんぞうわみょう918年)に霊芝のことが記されており、芝草、仙草、吉祥茸、幸茸といろいろな名前で呼ばれてきました。
霊芝の利用法
霊芝はキノコの一種ですが、私たちが普段から食べているシイタケやマイタケなどと違って傘の部分が非常に硬く、そのままで煮たり焼いたりして食べるにはむいていません。
そのままでも木片のようなに硬いのですが、乾燥させると長期間保存できることからマンネンタケという名前が付いたと言われています。
こうして乾燥した霊芝を煮出して飲む煎じ薬としての使うのが、古来から一般的な方法でした。最近は、サプリメントとして摂る方法が広がってきています。
手軽に摂取できるようになったことで病気の予防や改善を期待しての利用が増えてきました。
2000年も前から漢方薬など薬として長く利用されてきた霊芝ですが、有効成分や病気治療などの研究が科学的にすすんだのは、ここ20年くらいのことです。
霊芝の特徴的な成分は、βグルカンという成分です。
ガンを予防したり抑制する効果、アレルギー症状を緩和する効果と関係している成分で免疫システムに働きかけることがわかってます。
腸と免疫システム
人の免疫力の7割を担っているのが、腸だと言われています。
腸にこれほどの免疫機能が集中しているのは、身体の中にありながら外界と接している部分だからです。
チクワに例えると、外側がお肌だとすると、チクワの内側の穴は腸です。
チクワの外側も内側も空気にふれているので、雑菌にさらされています。
同じように口から肛門までは1本の長い「消化管」でつながり管になっています。
つまり消化管は、体内にありながら外部と接しています。
食べ物を口から摂取すると同時に病原体などの毒も運びこまれます。
免疫機能の働き
その門番として、免疫機能が腸に集中しています。
免疫機能は、侵入物などが敵か敵でないかを選別することから始まります。
安全であればスルーし、敵であれば攻撃します。
食べたり飲んだりしたものは、人体にとっては外から侵入してきた異物です。
消化管は、異物が絶えず入ってくるところであり、安全でない物が体内へ侵入するのを防ぐバリアーとして働いています。
有益な食品成分は通過させ、有害な敵は攻撃します。
これを経口免疫寛容(けいこうめんえきかんよう)と言い、腸が担っている免疫の重要な働きです。
この免疫の働きは、小腸の下部の回腸にあるパイエル板という組織が行っています。
パイエル板は、小腸の絨毛(じゅうもう)の間に存在するリンパ節が集合した免疫組織です。
腸管免疫の司令塔として各免疫細胞に指示を出しています。
一度ウイルスや細菌などの病原体などが体内に侵入してくると、免疫システムはそれを学習します。
一旦学習するとパイエル板はT細胞やB細胞に命じて、病原体に合わせて抗体を作るようになります。
一度作られた抗体はB細胞が記憶しています。
同じ病原体が体内に侵入してきたときに、腸管免疫機能は速やかにそれら病原体だけを効率的に排除していくのです。
霊芝の有効成分と免疫の関係
面白いのが霊芝の成分、βグルカンです。
βグルカンは安全な成分なのですが、栄養成分として腸から吸収されるのではなく、腸で敵として認識されて、刺激を与えることで免疫反応を起こすといったユニークな特徴があります。
免疫力とは、一般に自然治癒力と言われているものです。
免疫力が弱くなると、今までは問題なかった病気の元が身体に入るだけで、様々な症状が発症してしまいます。
また、この免疫が過剰になり、異常な働き方をしてしまうと、アレルギーや膠原病などの病気を発症してしまいます。
霊芝が西洋医学の薬と異なるのは、免疫力を高め、敵(病原)に対抗する力を取り戻すだけでなく、過剰作用してしまっている免疫システムを正常化することができることです。
霊芝は免疫機能を正常化させることで様々な効果もたらします。
ただし2ヶ月以上に渡って連続で摂取を続けると作用が落ちるので2ヶ月連続摂取したら1ヶ月休むなどといった摂り方をするのが効果的です。
霊芝を使った健康食品の選び方
このように免疫を正常化することで様々な病気に対抗できる万能薬として霊芝は煎じ薬として古来から使われてきました。
しかし、従来の煎液やそのエキスを粉末にして利用する方法では、霊芝の子実体のわずか8%しか利用できていなかったことがわかりました。
霊芝を有効に活用するためには殻を割って胞子を取り出す必要があります。
霊芝の有効成分は、硬い殻に守られた胞子の中にあります。
煮出してもこの胞子の殻は壊れません。
また、霊芝をすり潰して粉にするなどした場合、摩擦熱などで成分が壊れてしまうこともあります。
成分がしっかり入ったものを選ぶ
霊芝の胞子の殻を割って胞子を取り出した原料を使っているかの一つの目安が色です。
霊芝の煎じエキスの粉末やすり潰した粉末を使ったサプリは茶色いのに対して、胞子を使ったものは黒っぽい色です。
ただ黒く着色した製品もあるので注意してください。
胞子の殻を割る方法には、電子レンジのようなもので殻を割る方法や凍結して胞子を割る方法などがあります。
電子レンジのようなもので殻を割る方法では、熱が加わってしまうため胞子の成分が壊れてしまいます。
霊芝の有効成分を活用するには、熱を加えず胞子を取り出し製品化したものを選んでください。
このように加工法によっては有効成分が加工の段階で壊れてしまう場合もあります。
他にも加工したことによって、機能が弱ってしまう場合があります。
例えば、低分子化して吸収を良くしたとうたっている製品がありますが、こうした製品には要注意です。
βグルカンが腸で敵として認識されるためには、ある程度の大きさがあることが必要です。
βグルカンを人工的に低分子化すると腸で敵として認識されにくくなってしまうため、作用が著しく弱くなってしまうことがわかっています。
また原材料そのものにあまり効果がないものが使われている場合もあります。
先程も記載した通り、霊芝の種類には、赤芝(せきし)、黒芝(こくし)、青芝(せいし)、白芝(はくし)、黄芝(おうし)、紫芝(しし)の6種類があります。
この中で有用成分がありもっとも一般的な霊芝は、「赤芝(せきし)」とされています。
選び方を失敗すると危険な霊芝
材料や加工法で期待した効果が得られなくなるかもしれない霊芝ですが、効果が得られない以上に注意したいことがあります。
それは、霊芝によってかえって健康を損ねてしまう可能性があることです。
現在流通しているほとんどの霊芝は人工栽培されたものです。
この栽培環境がとても重要です。
霊芝をはじめキノコは、空気中や土中に含まれているものを何でも吸収します。
そうしたキノコの特徴を利用して環境浄化も行われています。
空気中や土中の汚染物質をキノコに吸収させ分解するのです。
つまり安全な環境で栽培された霊芝でなければ、多量の毒素を含む可能性があるということです。
ただでさえ、ちょっと調子が悪かったり、免疫が落ちたと感じるときに摂るものですから、身体に負担のかかる毒素が含まれていたら大変です。
健康のためにと摂ったもので健康を損ねてしまうこともあります。
品質の高い製品を選ぶには、安全な環境で栽培された霊芝を製品化したものを使って、二重盲検法による臨床データをとるなど、医薬品レベルの製造管理を行っている信頼できる企業の製品を選ぶようにしましょう。
まとめ
・赤霊芝など有効成分を含む種類の霊芝を原料にした製品を選ぶ
・土壌や空気など環境汚染されていない地域で栽培された霊芝を原料にした製品を選ぶ
・原料が見えるものは、粉末が黒っぽい色の製品を選ぶ
・霊芝の胞子の殻を割って胞子を取り出した製品を選ぶ
・低分子化をうたっていない製品を選ぶ
・製品を使っての二重盲検法による臨床データがある、医薬品同等の品質管理をしている製品を選ぶ