飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸の正しい摂り方

健康について調べていると、よく聞くのが「飽和脂肪酸」や「不飽和脂肪酸」です。

 

でも、効果が混同してしまって、「どっちが摂らなきゃいけない栄養だっけ?」と悩んでしまうこともありますよね。また、人によっては間違った摂り方をしてしまって逆効果になってしまっていることもあります。
そこで、今回は飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸の違いや特徴、多く含まれる食材から正しい摂り方までをザッとまとめてみました。

飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸の違い

飽和脂肪酸や不飽和脂肪酸は脂質(油)の種類のこと
健康や美容を意識している方は特に聞いたことがあるという方も多いですよね。

この飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸の「飽和」や「不飽和」は、脂肪酸を構成する炭素(C)に水素(H)が結合しているかどうかの違いを表しています。
「それでは結合の仕方が違うだけ?」

と思うかもしれませんが、この結合の仕方が違うことがとても大事で、特徴や身体へのどのような影響を与えるのかも変わってくることになります。

どちらの脂肪酸も大事な役割を持っている栄養ですが、間違った摂り方をしてしまうと身体に悪影響を与えてしまうことも…。健康のためにも、正しい脂肪酸の摂り方について知っておきましょう。

それぞれの脂肪酸の特徴

正しい摂り方についてお話する前に、それぞれの脂肪酸の特徴を見ていきましょう。

飽和脂肪酸

飽和脂肪酸には、身体を構成したりエネルギー源として使われたりという働きがあります。

この飽和脂肪酸は、常温では固体で温めなければ液体にならないという特徴があり、身体の中で固まりやすいという特徴があります。また、飽和脂肪酸は血液中の中性脂肪やコレステロールを増やしてしまうことでも知られています。

そういったことから、摂り過ぎてしまうと血栓症や高血圧症、肥満の原因となってしまい、動脈硬化や心筋梗塞などの循環器系の病気や生活習慣病などを招いてしまうとされています。

飽和脂肪酸には酪酸やミリスチン酸、アラキジン酸などがあり、現代の日本人が好きな肉類や乳製品の脂肪部分やパームオイルやココナッツオイルといった植物油に多く含まれているため、摂り過ぎてしまう傾向にあります。

過剰摂取による悪い点ばかり目につきがちな飽和脂肪酸ですが、足りていないと血管がもろくなってしまうといった弊害もあります。

不飽和脂肪酸

不飽和脂肪酸は飽和脂肪酸と比べて酸化して劣化してしまいやすいという欠点がありますが、常温でも固まりにくく、血液中の中性脂肪やコレステロールを減らすという効果があります。

そんな不飽和脂肪酸には、一価不飽和脂肪酸と多価不飽和脂肪酸があります。そのうち、多価不飽和脂肪酸は体内で作り出すことができず食事から摂らなければならない栄養素で、必須脂肪酸と呼ばれています。さらに、この必須脂肪酸にはオメガ3系とオメガ6系と呼ばれるものがあり、それぞれの脂肪酸によって働きや特徴も変わってくることになります。それらを簡単にまとめました。

  1. 一価不飽和脂肪酸
    一価不飽和脂肪酸にはオレイン酸やパリミトレイン酸などがあり、悪玉コレステロールだけを減らすという性質があります。
    これらの脂肪酸はオリーブオイルやアボガド、ヒマワリ油やキャノーラ油などに多く含まれています。
  2. 多価不飽和脂肪酸(必須脂肪酸)オメガ3系
    オメガ3系の必須脂肪酸はDHAやEPAなどが挙げられます。EPAやDHAは、血液中の中性脂肪や悪玉コレステロール値を減らし、血液をサラサラにする効果があるため生活習慣病の予防に効果的な脂肪酸として有名です。美容家たちがこぞって摂っている栄養素がオメガ3系の脂肪酸で、ダイエットや美肌、疲労回復にも効果的だとされています。そのほか、DHAには集中力や記憶力の向上効果、EPAは生理痛の改善にも役立ちます。
    DHAやEPAは、青魚をはじめとした魚類や貝類のほか、すっぽんにも多く含まれていることが知られています。
  3. 多価不飽和脂肪酸(必須脂肪酸)オメガ6系
    オメガ6系にはリノール酸があります。リノール酸は、摂りすぎると悪玉コレステロールだけでなく善玉コレステロールも減らして、血栓症や高血圧のもとになってしまいますし動脈硬化のような循環器系の病気を進行させてしまうことで知られています。また、アレルギー症状が酷くなってしまうことも…。しかし、リノール酸は身体の健康を維持するためにはなくてはならない栄養素。リノール酸は血液サラサラ効果や細胞膜の構成要素、炎症の抑制に関わる生理活性物質の材料にもなります。また、髪の毛にも影響してきます。

 

そんなリノール酸はサラダ油やゴマ油など植物性の油に多く含まれています。魚類や肉類などの素材にも含まれていることが多いです。

健康によい脂肪酸の摂り方は?

これらの脂肪酸は、身体を健康に保つためには必要な栄養素ですが、間違った摂り方をしてしまうと健康を阻害してしまう恐れもあります。脂肪酸の摂り方を考えた時に最も重要になるのが摂取量とバランスです。また、油が酸化して劣化してしまうと身体に有害な物質に変わってしまうこともありますので、鮮度にも気をつけるようにしましょう。

脂肪酸の最適な摂取量

どの脂肪酸も、身体を動かすエネルギーとなりますので、摂り過ぎると肥満になってしまいます。また、先ほどお話したように、脂肪酸によっては多く摂り過ぎると健康にマイナスの効果をもたらしてしまうものもあります。それぞれ適切な量を見ていきましょう。

飽和脂肪酸は年齢に限らず1日の総エネルギーの4.5~7%が理想とされています。

オメガ3系と6系の1日の摂取量の目安は年齢によって変わり、それぞれ次のようになります。

  • 必須脂肪酸オメガ3系
    15~17歳:(男性) 2.3g (女性) 1.7g
    18~29歳:(男性)2.0g (女性)1.6g
    30~49歳:(男性) 2.1g (女性)1.6 g
    50~69歳:(男性)2.4g (女性)2.0g
    70歳以上:(男性)2.2g (女性)1.9g
  • 必須脂肪酸オメガ6系
    15~17歳:(男性)13g (女性)10g
    18~29歳:(男性)11g (女性)8g
    30~49歳:(男性) 10g (女性)8g
    50~69歳:(男性)10g (女性)8g
    70歳以上:(男性)8g (女性)7g

脂肪酸をバランスよく摂るポイント

脂肪酸は、「飽和脂肪酸:一価不飽和脂肪酸:多価不飽和脂肪酸=3:4:3」の比率が最もよいバランスだと言われています。

このバランスが崩れてしまうと、コレステロール値が上がってしまったり血栓ができてしまったりすることもあります。

脂肪酸をバランスよく適量を摂るためには、次のことに気をつけましょう。

  1. 1日に出来るだけ多くの食材を食べるようにする。
  2. 油脂が多い外食やコンビニ弁当などが続かないようにする。
  3. 脂肪酸のバランスがよい食材を選ぶ

特に、現代の日本人は、飽和脂肪酸は足りていても不飽和脂肪酸は慢性的に足りていない人が多いと言われています。「肉より魚」を意識して食べるようにしたいですね。

また、こちらのサイトでお話しているすっぽんは、ビタミンやミネラル、アミノ酸のバランスだけでなく、不飽和脂肪酸のバランスもとても良い食材ですよ。

古い油脂に要注意!適切な調理法は?

飽和脂肪酸は酸化しづらく劣化が遅いことで知られており、加熱調理などにも比較的強いです。

一方で、DHAやEPA、リノール酸などの不飽和脂肪酸はすぐに酸化してしまい劣化しやすいことで知られています。また、こういった酸化しやすい油は加熱にも弱いという特徴があります。

特に、リノール酸は劣化してしまうことでヒドロキシノネナールという有害物質を生み出します。このヒドロキシノネナールは脳に悪影響を与えてしまう可能性が指摘されていますので要注意です。

そのため、古い油を何度も繰り返して使うのはもってのほかです。
不飽和脂肪酸を摂取したい時には可能な限り新鮮なものを使って、加熱などの調理を出来るだけしない形で摂るのが1番です。

また、酸化を防ぐβカロテンやポリフェノールなどの食材と一緒に摂って、体内での酸化を防ぐようにすると良いですよ。

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