すっぽんの生態を知って上手に飼育しよう

美容効果や健康効果が高いことで有名なすっぽんは、多くの方が食べたことがある、もしくは食べてみたいと思う高級食品ですよね。すっぽんは全身がプリプリのコラーゲンでできており、甲羅もカメとは異なり柔らかいのです。すっぽんは豊富な栄養素を含んでいることから古くから人々に愛されてきました。

歯はなくても顎の力が強く、噛みついたらなかなか離してくれないことでも有名なすっぽんですが、実は最近はペットとしても人気となっているのです。

臆病で警戒心が強いとも言われるすっぽんを飼育するためには、まずはすっぽんの生態を詳しく知っておくことが大切です。そこで今回はすっぽんを上手に飼育するために知っておきたいすっぽんの生態をお伝えしたいと思います。

すっぽんの生態

すっぽんというと日常生活ではなかなか目にする機会が無く、すっぽん専門料理店や水族館などで見かける程度という方も多いかも知れません。なかなか触れ合う機会が無い分すっぽんの生態について知らないことも多いですよね。

日本に生息しているすっぽんは爬虫綱カメ目スッポン科キョクトウスッポン属に分類されるカメで、シナスッポンまたはキョクトウスッポンと言われています。

ここではすっぽんの生態をご紹介したいと思います。

すっぽんとは

すっぽんとは爬虫類の一種で、河川や沼、池などに生息しています。

日本やモンゴル、中国、台湾、インドシナの北部などに多くすんでいます。

体調は20~35センチ程度で、主に肉食の雑食、水中昆虫や魚、カエルなどを食べます。

カメとの違いはと言うと、甲羅に模様がなく柔らかい点でしょう。

それは指で甲羅を触ってみると分かるはずです。

甲羅が柔らかいのは狭い岩場などに隠れるには硬いより柔らかい方が便利だから・・だと言われいますが、甲羅の形もすっぽんとカメではすっぽんの方が水中生活に適した作りとなっています。

さらに、顔つきにも鼻の先がとがっているものが多いようです。

すっぽんは一度かみつくと離さないということで有名で、噛ませたままで何かにつるしておいても離さないほどです。

ですが、獰猛というわけではなく、自衛行為として噛みついていることが多いです。

ただ、非常にしつこいことでも知られています。

もしすっぽんに噛まれた時は、無理に引き離そうとすると怪我をする可能性があるため、水の中に付けてしまうといいでしょう。

そうすれば、すっぽんは臆病なため逃げ場となる水中に逃げ込もうとして離してくれるはずです。

ただ、どのすっぽんでもこの方法が有効とは言えません。

すっぽんの種類

キョクトウスッポン

日本に住でいるすっぽんは、別名をキョクトウスッポンと言います。

体長は最大40センチ前後になると言われており、もともと本州以南に棲んでいたのが養殖されるようになってそこから逃げたものが日本各地に棲みついたと言われています。

なお、甲羅はカメより柔らかく簡単に曲げることができます。

ヒラタスッポン

次にヒラタスッポンですが、体と比較すると頭が大きいのが特徴で甲羅の形が長方形に近いです。

生まれたばかりの頃は、赤い斑点があるのが特徴です。

タイコガシラスッポン

このすっぽんは最大種のすっぽんでタイ西部に生息しており、体調は甲羅の長さが最大140センチにもなるのですが、頭は小さめで愛嬌があるすっぽんだと言われています。

日本のすっぽんの特徴

日本のすっぽんは北海道以外のほとんど全域に住んでいますが、食用として養殖していたものが逃げ出し野生化したと考えられています。

なお、南西諸島のすっぽんに関しては在来種だと言われていますが、養殖用だった可能性もあるようです。

沼や川、用水路などさまざまなところに生息しており、日光浴と産卵時以外はほとんど水の中で生活しているようです。
特に、底砂にいつもは体を埋めていることが多く、野生のすっぽんを見ることはほとんどありません。

性格は基本的に臆病で神経質だと言われており、日光浴をしている時でも人の気配を感じるとすぐに水の中に逃げてしまうようです。

すっぽんの体

すっぽんは体長は約40センチほどのであることが多く、緑色をしています。

すっぽんの甲羅にはカメのような模様が無いのが特徴で、カメの甲羅と比較すると柔らかい甲羅です。

すっぽんはカメとは異なり首が非常に長く、カメを捕まえる時と同じように捕まえようとしてしまうと、距離が離れていても噛みつかれてしまうことがあります。

思わぬ距離から噛みつかれてしまうことがあるので、むやみにすっぽんに近付かないように注意が必要です。

すっぽんの性格

すっぽんは噛みついたら離さないということは有名な話なので、とても強い生き物で狂暴なのではないかと思っていらっしゃる方も多いかも知れません。

しかし実はすっぽんは臆病で警戒心が強い性格の生き物なのです。

すっぽんはカメととてもよく似ていますが、カメの甲羅が皆さんご存知のように硬いのに対し、すっぽんの甲羅は柔らかいのです。硬い甲羅を持つカメとは異なり、甲羅が柔らかいすっぽんにとっての外敵からの攻撃は脅威となります。

甲羅が柔らかいため、警戒心が非常に強くなったのですね。

そもそもすっぽんが噛みつくというのは、自己防衛のためなのです。身の危険を感じると臆病な性格のすっぽんは外敵に噛みつきます。万が一噛みつかれてしまっても、水の中にすっぽんを入れてあげると、すっぽんが安心して離れていってくれます。

水中で生活することが多い

カメは陸上で生活することが多いのですが、すっぽんは水中で生活することが多いため、水の抵抗を受けにくいように流線型の甲羅に変化したといわれています。

天然のすっぽんは河川や池などに生息しています。すっぽん釣りをしているという方もいらっしゃいますよね。

すっぽんは水中で生活することがほとんどですが、時々水面に浮上して空気を吸うこともありますし、陸に上がって身体を休めることもあります。

すっぽんは冬眠する

すっぽんはカメと同様に冬眠をします。気温が10℃を下回る時期に砂の中に潜って冬眠をするのですが、冬眠期間が10月から4月までと非常に長い期間となっています。

普段は肺呼吸をしているすっぽんですが、冬眠中には腸内呼吸をしているという説もあります。

10月から4月という非常に長い期間エサを一切食べることなく、体重が10~15%も減少しても生きていくことができるすっぽんの生命力の強さは、滋養強壮に効果があるといわれる所以です。

すっぽんの甲羅干し

長い冬眠期間中は砂の中にもぐっているのですが、冬眠期間中以外には天然のすっぽんも養殖のすっぽんも必ず1日に2~3時間程度の甲羅干しを行います。

甲羅干しは寄生虫の繁殖や病気などを予防するために欠かせないものです。

天然のすっぽんの場合には真夏の炎天下で非常に高温になっている陸上、甲羅やお腹に水分が全くなくなるまで甲羅干しを行います。

養殖の場合にはすっぽんが甲羅干しをすることができるように、すっぽんの休憩場所を作ります。

甲羅干しをしなければ病気になってしまったり、水死してしまうこともあります。

すっぽんの餌

すっぽんは何を食べて生活しているのでしょうか。

すっぽんは肉食で、天然のすっぽんは幼い頃には水の中で生活している昆虫類を食べ、成長するとともに魚やエビや貝などを食べるようになっていきます。

市販のものなら赤虫やミールワームなどがおすすめですが、特に好むと言われているのがタニシです。

もし、餌をなかなか食べないとか、飼いはじめの頃はこのタニシを与えてみましょう。

生餌をあげるのが苦手という方はカメ専用の市販の餌や人工飼料などでもいいでしょう。

栄養を考えると、人工飼料を中心に与え生餌はおやつ程度にすることです。

それは、生餌を与えすぎますと栄養過多になるからです。

野生と養殖の違い

すっぽんは昔から、滋養強壮効果の高いものとして大切にされてきました。

すっぽんの養殖の歴史は明治時代からと言われており、盛んにおこなわれるようになったのは温泉の水を使われ出した昭和の頃だそうです。

養殖用として台湾や中国などからすっぽんが大量に輸入され、養殖に使われるようになりました。

その後、養殖場から逃げ出したすっぽんが在来種と交雑していったため、日本のすっぽんは大陸の種か日本固有の種か判別できなくなったそうです。

すっぽんの魅力

では、すっぽんの魅力とはどういったものなのでしょうか。

顔つきがかわいい

すっぽんは顔つきのかわいさも他のカメとは少し違っています。

特に小さい時、目がまん丸しているところが魅力だと言われています。

ちょっと違った雰囲気

普通のカメとはちょっと違った雰囲気があり、それが最大の魅力と言ってもいいでしょう。

カメの中でも特に爬虫類っぽい生き物で、不思議な生き物という雰囲気があります。

 上手に飼育するコツ

飼育環境を整える

すっぽんは最大30センチほどになるため、飼育容器は最低でも90センチ程度は必要になるでしょう。

容器の中には、床材として砂を深めに敷いてあげるといいでしょう。

この時にすっぽんの皮膚を傷つけるような素材の砂や石は避けるのがポイントです。

皮膚を傷つける恐れがあまりない細かいものを使えば大丈夫です。

すっぽんは砂の中にもぐっていることが多いと言われており、砂の中だと安心してリラックスできるからです。

また、すっぽんは水質に非常の敏感で低温に耐えられないため保温器具やろ過機が必要となります。

さらに、休むための陸地も用意する必要がありそうです。

水槽の中の水の深さはだいたいすっぽんの甲羅が全て浸かるくらいは必要です。

日光を遮断しない

すっぽんは甲羅干しをしなければならないので、日光浴をすることがとても重要です。

病気を予防するだけでなく、骨や甲羅を丈夫にしたり、すっぽんの健康を維持するために日光が必要です。日の当たるところにすっぽんの入った入れ物ごと置き、日光浴をさせてあげましょう。

すっぽんがかかりやすい病気

すっぽんが特にかかりやすい病気は、体の内側からの病気よりも皮膚病や寄生虫による感染症によるものです。

すっぽんは皮膚病にかかると甲羅や首の周りなどに白い斑点のようなものができてきます。

この白い斑点が皮膚病にかかっているかを見極めるためのポイントとなるので、注意して見てあげるようにしてください。

主にカビが原因となる皮膚病ですが、怖いのは放っておくと皮膚が壊死してしまうことです。

そうなる前に病気にかかって症状が悪化していることに気付いてあげてください。

皮膚病にかかった場合には専用の薬で治療していきます。

説明書をよく読んで薬を使っていくと、徐々に白い斑点も薄くなって最終的には消えていきます。

皮膚病にかからないためには普段から日光浴をさせて皮膚を強くさせることが大切です。

週に2、3回は日光浴の時間を作ってあげて、すっぽんに意外と多い皮膚病のリスクが下がるそのためにもようにしましょう。

他にも、すっぽんはツリガネムシなどの寄生虫による感染症を引き起こすこともあります。

寄生虫による感染症ではすっぽんの皮膚が白い綿状になった独特の症状が出てきたり、すっぽんやその周りの水槽が緑が強く見えたりします。

どちらの病気の場合も色が判断のポイントとなるので、すっぽんの体の色に変化がないかをこまめにチェックして病気を防いだり、病気にかかった時には早めに治療をすることが大切です。

人間に慣れてもらう

ペットとしてすっぽんを飼育するには人間に慣れてもらい、安心してもらうことも重要です。

水槽の位置を高くして人間の目線の高さになるように工夫すると、飼い主さんの顔を覚えることができるようになり、すっぽんがストレスを感じにくくなります。

冬眠しないように水温を調整する

寒い時期になるとすっぽんは冬眠しますが、ペットとして飼育するのであれば体力を大幅に消耗し、命を落としてしまう可能性のある冬眠をさせないようにすることが大切です。

水温を常に25℃になるように調整し、25℃以下にならないように注意しましょう。

多頭飼いをしない

すっぽんは身の危険を感じると噛みつきます。

ペットのすっぽんも噛みつくのですが、同じ容器に複数のすっぽんを入れてしまうとすっぽん同士で噛みついてしまう恐れがあります。まず1匹ずつ飼うか、もしくは別々の容器に入れて飼育しましょう。

飼い主さんの顔を覚え、飼い主さんからの愛情を感じ取るとすっぽんは徐々に噛みつかなくなるそうです。

もちろんすっぽんには個体差があるので、中には警戒心がなかなか抜けず、臆病な性格のすっぽんもいます。

噛みついたら離さないといわれるすっぽんが、たっぷりと可愛がってくれた飼い主さんには噛みつかなくなるといことも、すっぽんがペットとして人気の理由なのかもしれません。

 まとめ

すっぽんを飼育するにあたって

すっぽんは飼育環境が整っていないと体調が悪くなってしまったり、病気になったりして長生きすることができないので飼育するのは意外と難しいことかもしれません。

しかし、すっぽんにとって過ごしやすい環境を作ることができれば、平均で30年とペットの中でもかなり寿命が長い生き物だと言えるでしょう。

病気は自然になってしまうものだけでなく、犬や猫など他のペットを飼っていてそれによってすっぽんの体が傷つく恐れがある時にも注意が必要です。

体が傷ついてしまったらそこから皮膚病になってしまったり、何らかの細菌に感染してしまう危険性もあるということを頭に入れておきましょう。

すっぽんは育ててみると意外と可愛い生き物です。

愛情を持って飼ってあげると、噛みつくことも少なくなるはず。

飼育するのに適した環境を整えることは難しくて注意するべき点も意外と多いですが、その条件を全てクリアできるという方は、一度すっぽんを飼育してみてはいかがでしょうか。

すっぽんを飼うなら、たっぷりとかわいがってあげてくださいね!

ここでご紹介したことが、すっぽんを飼う時のご参考になれば嬉しいです!

すっぽんの寿命を延ばす飼い方について

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