DHAやEPAは、どちらも生活習慣病の予防に効果的だと言われている必須脂肪酸です。DHAやEPAは似たような脂肪酸ですので色々とややこしく、混同してしまっている人も少なくありません。
でも、よく調べてみると、期待できる効果が全然違うのです。もしかしたら期待していた効果が得られないのは、DHAとEPAを間違えてしまっているからかも…?
そこで、今回はDHAやEPAの違いについて、分かりやすくまとめたいと思います!
目次
多くの人が混同!?DHAとEPA
不飽和脂肪酸のDHA(ドコサヘキサエン酸)とEPA(イコサペンタエン酸)は、どちらも人間の身体では作ることができない必須脂肪酸で、毎日の食事で摂取する必要がある栄養素です。
しかし、これらの栄養素は生活習慣病を予防する効果や青魚に多いなど、共通する特徴も多く、ごちゃまぜになってしまっている人も少なくありません。
しかし、DHAとEPAは、働きや効果に違いがある、全く別物の栄養素です。そのため、より摂取しなければならない人というのも変わってきます。
期待していた効果を得るためにも、きちんと調べ、理解しておきましょう!
DHAとEPA の効果の違い
まずは、DHAとEPAの効果の違いをざっと箇条書きにしてみましょう。
DHAの摂取で得られる効果
- 生活習慣病を予防する効果
・中性脂肪とコレステロールの値を下げる
・血液サラサラ効果
・高脂血症や肥満の予防と改善
・高血圧症の抑制 - 疲労の回復効果
・疲労回復
・ストレスの軽減 - 記憶力や集中力を高める効果
・学習能力や記憶力、集中力の向上
・認知症やアルツハイマーの予防
・物忘れの改善
・子どもの脳の発達 - 視力回復効果
これらの効果につきまして、具体的なメカニズムなども併せてコレステロールを下げる?話題のDHAの効能で詳しくご紹介しています。
EPAの摂取で得られる効果
- 生活習慣病を予防する効果
・中性脂肪とコレステロールの値を下げる
・血栓や動脈硬化の予防
・血液サラサラ効果
・高脂血症や肥満の予防と改善
・高血圧症の抑制 - 疲労の回復効果
・疲労回復
・ストレスの軽減 - 生理痛の改善
- 肌トラブルやアレルギー性疾患の改善
これらの効果につきまして、具体的なメカニズムなども併せて「EPA」は生活習慣の予防に役立つ!効果的な摂取方法についてで詳しくご紹介しています。
DHAとEPAの効果の違いのまとめ
DHAとEPAの摂取で得られる効果につきまして、「1.生活習慣病を予防する効果」と「2.疲労の回復効果」で、同じ効果が得られるということに気づきましたでしょうか? 実は、これがDHAとEPAが混同されてしまうひとつの理由です。しかし、あとでお話するように、それらを実現するための手法がDHAとEPAでは異なってきます。
また、3と4はDHAとEPAでも現れる効果に明らかな違いがあります。これは、それぞれの脂肪酸の特徴とも言えますね。
DHAとEPAで効果が違う理由
それでは、DHAとEPAの1と2の健康効果へのアプローチ方法や3と4に違いが現れる理由についてお話したいと思います。
DHAとEPAの生活習慣病予防と疲労回復へのアプローチの違い
DHAにもEPAは、どちらも生活習慣病の予防と疲労回復に有効だとされている栄養素です。それを実現するのが、血液中の中性脂肪とコレステロールの値を抑える効果と血液をサラサラにする効果です。
ここで注目したいのが、2つの栄養素が持っている血液サラサラ効果です。同じ効果を持っていますが、実はアプローチの方法が全然違ってきます。
DHAは、細胞を柔らかくするという効果があります。そのため、血管を柔らかくしたり赤血球を柔軟に変形できるようにしてくれます。そうすると、細い毛細血管などでもスムーズに血液を流すことができます。
一方、EPAは血液が凝固する作用を和らげる働きがあります。血液が固まる作用のことを血小板凝集作用と言い、アラキドン酸という脂肪酸によって起こります。この作用は怪我をした時にはなくてはならないものですが、アラキドン酸が高すぎると血液をドロドロにしてしまい血栓ができやすくなってしまいます。EPAにはそんなアラキドン酸の量を調節するという効果があります。
DHAよりもEPAの方が血液のサラサラ効果は高いということが分かっています。そのため、循環器系の薬にEPAが用いられることもあります。生活習慣病予防や疲労回復を考えるならEPAを多く含む食材を食べる方が効率的だと言えます。
DHAは神経系にも作用する!
DHAがEPAと大きく違う点には、脳や神経系に作用できるということです。
脳には、血液網膜関門があり、限られたものしか侵入することができず、EPAも入れません。しかし、DHAはそんな血液網膜関門も潜り抜けることができます。
DHAの働きで柔軟になった赤血球は、サラサラと流れて脳に酸素や栄養を届け、老廃物を受け取ることができます。その結果、記憶力や集中力が高まるだけでなく、最近では視力の回復にも効果的だと言われています。
そんなDHAは、認知症やアルツハイマーの予防に効果的なことから、年齢を重ねた人程摂取したい栄養です。また、子どもの神経系の健全な発達には欠かせない栄養素だということも研究で明らかになっていますので、子どもや妊婦さんも気を付けて摂取したいところです。
女性に嬉しい効果はEPA
EPAは、生活習慣病などの健康効果以外にも、女性に嬉しい効果を持っています。
先ほどお話したように、EPAにはアラキドン酸の量を調節する効果があります。そんなアラキドン酸は、実は血液中に増えすぎてしまうと色々と嫌な効果を与えてくることになります。
その1つに生理痛があります。生理はアラキドン酸から作られるプロスタグラジンによって、子宮を収縮させて経血を排出させます。しかし、このプロスタグラジンが多すぎると子宮の収縮が強くなりすぎてしまうことに…。結果として、激しい下腹部痛や倦怠感、めまいや頭痛などが起こってしまいます。
また、血中でのアラキドン酸の増えすぎはアレルギーの原因にもなると考えられています。プロスタグランジンなどアラキドン酸によって生み出された物質が、アレルゲン物質が体内に入ってきたときに過剰に反応して痛みや炎症を起こしてしまうということが分かっているのです。その結果、花粉症や喘息、アトピー性皮膚炎といったアレルギー性疾患になってしまうこともあります。
EPAの摂取は、アラキドン酸の値を正常にしてくれますので、これらの症状の改善が期待できます。
また、それだけでなく、EPAには角質層でヒアルロン酸などと細胞どうしを繋げるという働きをもっています。そのため、お肌のバリア機能を正常にしたり潤いを保ったりするためにも欠かせない存在と言えそうです。
DHAもEPAもどちらも摂れる、すっぽんの魅力
DHAやEPAの違いについて見てみましたが、いかがでしたか?きっと
「こんなに違うんだ」
と思った人も多いですよね。こういった効果の違いを理解すると、普段から摂る栄養素も意識できるのではないでしょうか。
DHAやEPAは、どちらも青魚の脂肪分(脂身)に多く含まれている栄養です。多く含まれている食材のリストを見ても、マグロやサバなどの魚類がずらりと並びます。そんな中でもひときわ異彩を放っているのがスッポンです。
実は、すっぽんには青魚と同じくらいDHAもEPAも含んでいるのです。DHAは100gあたり860mg とマサバと同じくらい、EPAは100gあたり630mgとマアジの2倍以上と、どちらの脂肪酸もかなり充実して摂ることができます。
これらの脂肪酸の欠点は、酸化しやすいということ。そのため、食べる時には鮮度に意識し、ビタミンEのように抗酸化作用が強い栄養素と一緒に摂るとよいでしょう。すっぽんにはビタミンEも含まれていますので、正に理想の食材と言えそうです。
調理をする際には、加熱するとDHAやEPAは脂と一緒に流れ落ちてしまいますので注意してください。そのため、生で食べられるお刺身か、ただ焼く料理よりもお鍋や雑炊のようにおつゆまで楽しめる料理がおすすめですよ。